青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

昔、福井にエーデルワイスという喫茶店があったのを覚えている人はいませんか?

最近、深夜食堂というドラマにハマっている。
深夜に営業する食堂が舞台で食を通して人間を描いている。
少し不器用だけど優しいマスターが良い味を出している。

このドラマを見ていて自分にとって思い出の味、忘れられない味はなんだろうと考えてみた。

・小学生のとき友達と自販機の下を探って手にいれた小銭で買ったパイの実の味
・幼稚園のときに住んでいたアパートの隣のラーメン屋さんのラーメンの味
・母が失敗して作った水っぽいカレーの味

などなど。
多すぎて数えきれない。
食と思い出ってかなり密接な繋がりがあるようだ。

では自分にとって「初めて」の思い出の味はなんだろうかと考えてみた。
それがエーデルワイスのツナクリームスパゲティ。

覚えている人いませんか?
昔、だるまや西武の並びにあったレトロな喫茶店。

当時、幼稚園だった僕はそこが好きでよく母に連れていってもらった。
とても幼いときのことだったので店内の様子はあまり覚えていない。
でもテーブルがインベーダーゲームや占いのテーブルゲーム機だったのを強く覚えている。
お金をいれなくてもレバーやボタンをガチャガチャ動かしたり、無意味に連打したりするだけでとても楽しかった。

そこで注文していたのがツナクリームスパゲティ。
ツナクリームスパゲティを言えなくて僕は白いスパゲティと注文していたw
ちなみにナポリタンは赤いスパゲティw

どんな味だったかは正直全く覚えていない。
でも注文のときに白いスパゲティ!という僕に店員のお姉さんが優しく笑ってくれたことは思い出せる。
それを思い出すと何故か悲しくなるような楽しくなるような不思議な感覚になる。

そんな思い出の詰まった場所。エーデルワイス
マスターがクモ膜下出欠で亡くなり、店は閉店となった。

もう願うことは絶対にないが、もう一度だけ味を覚えていないあの白いスパゲティを食べてみたい。
たまにふとそう思うときがある。

文章:菅原翔一