青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

絶望的な状況でも夢を諦めない。例え死が目前でも。 横山秀夫「出口のない海」

 

出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

 

 

 
回天をご存知だろうか。
太平洋戦争末期に日本海軍が考案した特攻兵器だ。
特攻兵器といっても魚雷を改造し、人間を搭乗させることができるようにしただけのもの。
敵艦に搭乗員ごと体当たりする人間魚雷だ。
 
本作「出口のない海」はその人間魚雷回天の悲しい物語だ。
 
主人公の並木の野球に賭ける熱い思いに涙がこぼれること間違いなしだ。
死ぬ直前まで魔球の完成に情熱をかける姿に勇気をもらった。
 
若者は自分の夢に情熱をかけることを本分とすべし。
そうすることが夢半ばにあの忌々しい戦争で散っていった若者たちへの最大の供養になると思う。
 

 

文章:菅原翔一