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プロ治験アルバイターの普通ではない日常を描く 「職業治験」

 

職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々

職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々

 

 

最近、治験というアルバイトを知った。
製薬会社が薬を市販するにあたり人間に薬を実際に投与し、副作用がないかを調べるために臨床試験を行う。
それが治験だ。
平たく言えば人体実験。


なお治験はあくまで個人の自発的な意思に基づくボランティアとされる。
そのため報酬は謝礼としてではなくボランティアの負担を減らすための「個人負担軽減費」として支払われる。


この本の著者はそんな治験でメシを食うプロ治験アルバイター
そんな著者は治験を始めた理由についてこう語る。


治験を始めた同期は単純明快です。新訳を創るための社会貢献などとは一切思っていません。私は「楽」がしたかったのです。好きな時間に起きて、好きな物を食べ、好きなだけネットをし、好きな本だけを読み、そして寝る。かつ、お金を貰う職業。それを探した結果、プロ治験という仕事に辿り着いたのです。


これだけ読めば著者はなんとぐうたらな人間なのかと思うかもしれない。
しかし一部上場会社に就職した経験を持っている人間である。(たった2ヶ月でやめるのだが)
事実、かなり文章力がありグイグイと引き込まれる。
自分の欲求にかなり正直な人だと思う。(誰だって仕事なんてしたくないですもんねぇーーーーーーーーー!)


治験の一番おいしいところは三食病院でご飯を食べ、自分の好きなことをしてお金をもらえるところだ。
しかも金額はかなり高額だ。
20日の治験で約53万円。
ひうぇうぇえええええええええいいいいいい!!!!


しかしもちろん良いことづくめな訳ではない。
まず治験を行うということを社会と隔絶される、つまり常識を失うということである。


またいくら事前に動物実験で安全が保証されていたとしても薬の副作用がでる可能性はゼロでない。


そんなデメリットを理解しつつも著者は治験のぬかるみにドンドンはまっていく。


高いところから低いところへ流るる水。自然科学的に、分子ひとつまでこの法則に従う。その逆は決してない。莫大なエネルギーがいる。
だからやっぱり「楽」はやめられない。行けるところまで行ってみよう。この体がボロボロになるまで。


1日三食。
光熱費タダ。
高額の謝礼。


あなたは治験に参加しますか?


文章:菅原翔一