青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

【ライブレポ】シーナ&ロケッツの"4人"がつくり出すビートはブルースだった。シーナ&ロケッツ40周年アニバーサリーツアー11/21(火)@京都拾得

 

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11/21(火)にシーナ&ロケッツ40周年アニバーサリーツアーを観に京都の拾得(じっとく)まで行ってきた。

いち早くこの感動を伝えたいのだが、その前にこのライブには個人的なストーリーがある。

ライブ前に鮎川さんにメールを出す

ブルースを伝えたい!

これは僕の人生の大きな使命のひとつである。

こんなことを話すといろんな人に笑われるのだが、僕は本気でそう思っている。

理由は説明できないし、やりたいことにイチイチ説明付けなんかしていたらキリがない。

 

どうすればブルースをもっといろんな人に聴いてもらえるだろうか・・・?

ある日、ふと思いついた。

ブルースを愛するすっげー人ですっげーブルースを現在進行形で演っている人に会いにいこう!!

 

ブルースを愛するすっげー人、思い浮かんだのは鮎川誠だった。

その直後にすぐにメールを打った。

 

長々といろんなことを書いたのだが要約すると・・・

ブルースがめちゃくちゃ好きでたまりません!会ってください!

送信ボタンをクリックした後に思った。

俺ってめちゃくちゃアホやん!笑

果たしてこのアホさで返事は果たしてくるのだろうか・・・。

 

それが来たのである笑

 

鮎川さんのマネージャーさんから届いたメールには

「あなたの熱意は分かりました。鮎川にそのまま必ず伝えます。40周年アニバーサリーがあるのでご都合が合いましたら是非とも遊びにきてください。そこで挨拶して頂ければと思います。」

というような内容が記されていた。

 

これを読んでいるときのアドレナリンの分泌量たるや。

後先考えずに「行きます」と返事。

 

開演まで

当日は18時30分開場だったのが、16時30分に拾得に到着。

ライブハウスのスタッフさんに「はやいっすねーw」と言われる。

それはそうですね笑

リハーサルが始まる。

いつもレコードで聴いていたあの音に本番への期待が否応なしに高まる。

開場近くになるとお客さんが列をなす。

革ジャン率の高さ!

 

開演までの30分間の長いことといったら!

 

開演!

開演の19時。

SEの音量が一瞬グッとあがり、それから下がっていく。

照明が落ちる。

シーナ&ロケッツの出演の演出である、飛行機の着陸の無線SE。

自分の心臓の音が聞こえる。

 

ドラムの川嶋さん、ベースの奈良さんが2Fの怪談から降りてくる。

それに続いて鮎川さん!!

 

隣にいた女性ファンに「本物ですよね!?」って聞いてしまう笑

「うん!!本物!!」

 

ゆっくり階段から降りてくる。

煙草をふかしながら。

 

ちょうど僕が立っているところからギターを受け取りながらステージにあがる。

「鮎川さん!!」鮎川さんが着ていた革ジャンに思わずタッチ。

「ハァーイ♪」

ニコッと笑ってサングラス越しに優しい目をみた。

今日のライブが素晴らしい時間になることをこの一瞬で確信した。

 

鮎川さんのギターのブラッシングのカウントからBATMAN

シーナ&ロケッツの入場テーマ曲ともいえる曲でアドレナリンが体中をかけめぐる。

 

鮎川さんはブラックのスリムフィットのパンツを履いて、ブラックのシャツに革ジャンにピカピカに磨かれたチェルシーブーツという出で立ち。

弾きこんで塗装は剥げてボロボロになったレスポールカスタム。

そしてくわえ煙草。

口から時折吐き出される紫煙の形。

それが空気中にとけてなくなる。

まるで映画を見ているような感覚になった。

 

Get it on Babyに続いてI'M FLASH

鮎川さんボーカルの看板曲とも言える曲。

当たり前ではあるがでてくるサウンドが本物で感動。

 

聴けば聴くほどバンドのサウンドに引き込まれていく。

映画の世界観に引き込まれ、映画の中に没入してしまう感覚と全く同じ。

 

クールな出で立ちの鮎川さんだが、プレーは真逆で常に全力投球。

手加減は一切なしだ。

そこには71歳の老人の姿は一切なく、生まれて71年間若者をやっている人間の姿があった。

体中から汗を吹き出しながら、全力で歌う。

転がり続けてずっと加速していく岩のようだ!

 

熱狂を通りこし、たちつくしてバンドのサウンドにひたすら没入した。

全力でプレイする鮎川さんの額から流れ落ちた汗がピカピカに磨かれたチェルシーブーツに落ちて水玉模様のような形になったのが何故か印象に残っている。

 

ベースの奈良さんと川嶋さんもシーナ&ロケッツの音を伝えるのに外すことはできない。

ベースとドラム。

いわゆるリズム隊はバンドの心臓としてよく例えられる。

 

「イラっとすることを原動力に僕らはロックやるけど、出てくる音はハッピーじゃないといかんけんね」

何かのTV番組で鮎川さんはこう言っていた。

 

この2人が織りなすハッピーなビート(=血液)が鮎川さんに流れ込み、サウンド全体が物凄くハッピーなサウンドになっていた。

 

いつの間にか終盤へ

 

いつのまにか終焉の

LAZY CRAZY BLUES~LEMON TEA~YOU MAY DREAM~I LOVE YOU

の流れ。

 

LAZY CRAZY BLUESではギターソロ後の鮎川さんのブラックビューティーのリードプレオとボーカルの掛け合いが絶妙でたまげる。

まるで2人のボーカリストの音をきいているかのようだった。

 

そしてYOU MAY DREAMの鮎川さんのMC。

「みんな夢を持ってね」

鮎川さんではなくシーナが言っているように僕には聞こえた。

シーナの魂が鮎川さんの唇を借りてそのように言わせたのだと思う。

 

あなたのこと思うと 凄く胸が熱くなるの

いつもはユーウツな雨も サンバのリズムに聞こえる

 

鮎川さん1人で歌っているのだが、そのボーカルの後ろで僕は確かにシーナの歌声も聴いた。

嬉しくて嬉しくて涙が止まらなくなった。

 

時代は確かに夢を持っていますと言うのがなんとなく気恥ずかしい気がする時代だ。

しかし、そんな時代だからこそ夢をもって、希望をもって生きていくのだ。

 

それが私のすてきな夢

それが私のすてきな夢

 

シーナの夢。

それは鮎川さんのギターと一緒にずっとロックをやっていくことだったのに違いない。

体という入れ物はなくなってしまったけど、シーナはまだ夢を叶え続けている。

そして鮎川さんも。

 

2013年の磔磔でまだ元気だったシーナがいたときのライブを思い出した。

ロックに思い切り憧れて、パティスミスのTシャツを着ていた僕にシーナは優しくハグしてくれた。

あのときの嬉しさ。

 

最後にI LOVE YOU。

鮎川さんの横で、お客さんからそして鮎川さんからI LOVE YOUを何回も言われて嬉しそうなシーナの顔が見えた。

人間の愛の深さを見たと言ったら大げさだろうか。

 

「いぇー!みんなありがとう!!」

鮎川さんははにかみながらレスポールを肩からおろし、ゆっくりステージから降りて行った。

 

アンコール

 

拍手が鳴りやまない。

いつのまにか拍手はアンコールを求める手拍子に変わる。

 

アンコールに応えて鮎川さんがもう一度ステージにたつ。

その顔はとても嬉しそうだ。

 

「ありがとう!それじゃ最後に僕たちが呼ぶのも恐れ多いローリングストーンズっていうバンドの中から1曲。僕たちのピンナップベイビーブルースっちアルバムの中に入ってるI Can't Get No Satisfactionっていう曲をやります!」

 

観客みんな大興奮!

I Can't Get No Satisfactionの大合唱。

 

大学時代にロック漬けだった自分に戻ったような気がした。

 

バンドのリズムにしっかりと乗せるように弾くギターは正しくブルースそのもの。

それも思い切りフレッシュなやつ。

 

やっぱりこの人はブルースマンや!

心の中で僕は叫んだ。

 

これからもずっと4人

 

映画のようにエンドロールが流れていくのが僕には見えた。

エンドロールには

飛びっきりのご機嫌な笑顔でリズムを作り出すドラムの川嶋さんとベースの奈良さん。

その上で思い切り自分の鳴らしたい音を出す鮎川さんの名前。

そして体はなくても歌を歌ってタンバリンを鳴らすシーナの名前、4人の名前がクレジットされていた。

 

シーナが亡くなった直後に鮎川さんは涙を浮かべながら

「俺達はこれからも4人でシーナ&ロケッツを続けていきます」とインタビューで言っていた。

 

今回のライブに行ってみて、それは鮎川さんの意志表明なんかではなく、事実そのものであったと思った。

これからもシーナ&ロケッツはずっと4人だ。

 

後半に続く!

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