青がきこえる

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【ライブレポ】映画の後に登場人物が飛び出してきた シーナ&ロケッツ40周年アニバーサリーツアー11/21(火)京都拾得

mojomanta.hatenablog.com

前回の記事の続き。

今回は終演後の様子をお届けしたい。

 

 

 

映画を見終わった後の虚脱感

ライブが終わった後、何をすることをもできなくてただボケーッと突っ立ってしまう。

青色の照明を受けて鮎川さんのブラックビューティも青色に見えたのをただボケーっと眺めていた。

 

映画に散々引き込まれた後に、エンドロールが終わった後もその映画の世界にまだ浸っていたくて何もできなくなるのと調度同じ感覚だ。

 

何人かのお客さんがセットリストをもらいにステージに群がる。

(ギターテックの方に皆さんキチンと了承をもらっておられました。ヒジョーに礼儀正ししくて気持ちがよかった)

それが僕には映画が終わって観客席から離れる観衆に見えた。

 

僕はこの映画館からまだ出れそうにない。(というか出たくない笑)

 

相変わらずボケーっと立っているとギターテックの方がセットリストをくれた笑

さすがに現実に戻らないといけない。

僕はシーナ&ロケッツという映画が上映された映画館から出ることにした。

 

さて、念願の鮎川さんへご挨拶だ!

 

映画の登場人物が目の前に

とりあえずマネージャーさんを通して連絡させて頂いたのでマネージャーさんを探す。

セトリをくださった親切なギターテックさんに「マネージャーの方はどなたですか?」と聞く。

「グレーのパーカーを着た人だよ!」

笑顔で答えてくれた。

 

さて何処だろうと探す。

すると会場内にいる人がこちらを見ている。

???

後ろを振り返るとなんと鮎川さん!

ニコニコと笑っている。

超至近距離。

 

さっき観ていた映画の登場人物がそのままスクリーンから抜けて出てきたような感覚になった。

俳優ではない。登場人物そのものだ。

 

「鮎川さん!!」

反射神経的に小さく叫んでしまう。

 

そんな僕に

「ずっと聴いとってくれたよね。ありがとう。」

と言ってくれた。

ニコニコ笑顔。

めちゃくちゃかっこいい。

 

まさかこれを持ってきてくれてるとは!

 

今だ!と思いカバンからLPを取り出す。

「サインください!」

「まさかこれを持ってきてくれてるとは!」

鮎川さんの少し驚いた表情が見れた。

 

僕が渡したLPはピンナップベイビーブルース。

鮎川さんがアンコールで最高に気合いの入ったテンションで演奏してくれたサティスファクションが収録されているアルバム。

 

実はA&MからリリースされたシナロケのUS盤にサインをもらおうともっていこうと思っていたのだが・・・何故だか見つからなかった。

探しているときにピンナップベイビーブルースがふと目にとまった。

何だかレコードが「連れてって!」と言っているような気がしたのでこれを持っていくことにしたのだ。

 

前回のレポートでも書いたのだが鮎川さんはSatisfactionを演奏する前に

「ピンナップベイビーブルースっちアルバムに入っている・・・」

とMCで言ってくれた。

これに物凄い運命的なものを感じて鳥肌が止まらなくなった。

鮎川さんが少し驚いた表情を見せてくれたのも同じ思いからだったのだろうか。

 

鮎川さんが嬉しそうにマジックで自分の名前をLPに滑らせる。

ずっと聴いてきたレコードのジャケットに、その盤の螺旋状に刻まれている音を鳴らした本人の直筆の文字が書かれる。

なんとも不思議な気持ちだ。

そして素直にとても嬉しい。

 

鮎川さんが書き終わった後に後ろにいた奈良さんと川嶋さんにレコード盤を手渡そうとする。(2人にもサインを書いてもらうため)

 

シーナの分も書いて!

 

「シーナさんの分も書いてくださいっ!」

また更にお願いしてしまった。

 

シーナ&ロケッツは"4人"でシーナ&ロケッツ。

なのでどうしてもライブで熱い音を鳴らしていた"4人"全員のサインが欲しかった。

 

鮎川さんの顔がとても嬉しそうな顔になった。

「書く!うんとソックリに書くね!」

鮎川さんが書いてくれたシーナのサインはシーナのサイン、そのものだった。


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この4人のサインが入ったLPは僕の宝物。

(このLPはライブ後、丸1週間僕のターンテーブルに乗り続けた。そして何回も何回もひっくり返された。)

 

若い人の感性でやればいい!

 

サインをもらった後に鮎川さんにどうしても言いたかったことを伝える。

「僕はもっとたくさんの人にブルースを伝えたいんです!日暮さんみたいな仕事はできんかもしれんけど僕はどうしてもやりたい!」

 

「若い人がそげん風に思ってくれるなんて嬉しかばい!是非ともやって欲しい!若い人の感性で、若い人の感じたブルースを、若い人のやり方でやればいいんよ!」

なんとも温かいアドバイス、そして本質的な答えを頂いた。

 

煙草をふかす鮎川さん。

それだけでも絵になるし、なんとなく涙がでてきそうになった。

ひとつひとつの仕草に映画のような物語がそれぞれつまっているような気がした。

 

奈良さんと川嶋さん

ライブで物凄いグルーブを作っていた奈良さんと川嶋さんのことも書かずにはいられない。

ステージから降りてもこの2人はかっこよかった。

会場の隅っこでビールを注ぎ合って2人で乾杯していたシーンが忘れられない。

映画のワンシーンを見ているようだった。

 

「物凄いリズムでした!」と伝えると

「リズム隊冥利に尽きるねぇ!」と笑って話してくれた。

 

激しいビートが柔らかい人間性から生まれている。

この事実が何だか嬉しかった。

 

総評

シーナ&ロケッツはシーナが亡くなっても"4人"のバンドだと確信した。

この4人がつくりだすビートはブルース、そしてブルースへの愛そのものだ。

 

今回のライブでも演奏されたシーナとの最後の18枚目のアルバムの表題にもなったRokket Rideが頭に今鳴り響いている。

 

When forever ends There'll be you and me

(永遠が終わっても君と僕はずっと一緒だよ)

 

After all eternity There'll be you and me

(全ての永遠が終わっても君と僕はずっと一緒だよ)

 

When the world explodes When the stars collide

(世界が爆発しても 星がぶつかっても)

 

I'll be here by your side, To take you on a rokket ride

(僕はずっと君の側にいて 君をロケットライドで迎えにいくよ)

 

鮎川さんの使い込まれてボロボロになったレスポールカスタム。

このギターを通して毎日鮎川さんはシーナを迎えにいっているのだ。

これからもずっと。

 

文章:菅原翔一

 

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