青がきこえる

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「キャスト・アウェイ」漂流「後」のほうが辛い漂流映画

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僕は漂流モノが好きである。

現代社会で何一つ不自由なく暮らしてきた主人公が事故などで無人島に辿り着く。

生きるためにサバイバル生活を送り、無人島から脱出するために知恵を絞る。

ロビンソン・クルーソーを初めとして何百、何千とありそうな脚本であるが、考えるだけでわくわくしてしまうのだ。

 

そんな漂流モノは大抵は主人公は無人島から脱出した後、幸せな結末を迎える。

ダーリン、戻ってきて嬉しい♪ぶちゅー。

こんな塩梅。

 

しかし、今日紹介するキャスト・アウェイはその観点から考えると少々異質である。

監督ロバート・ゼメキス、主演トム・ハンクス

2000年に公開された。

 

 

以下、あらすじ。

主人公チャックはアメリカの運送会社の管理者。

自分の恋人とも婚約をするなどプライベートも仕事も充実している。

しかし出張に向かう飛行機が故障により墜落。

チャックの長きに渡るサバイバル生活が始まった。

 

プロット的にはかなりベタな展開であるが。。。

 

この映画の核心部は主人公のチャックが無人島から脱出した後にある。

婚約していたフィアンセ。

しかし彼女は他の男と結婚していて、子供までいるという。

 

なんともブルージーではなかろうか。

チャックは4年間を彼女とまた再び出会うという意思を糧に生きていたのだから尚更である。

 

静かに元恋人の元を去るチャックの表情に胸が苦しくなる。

 

世の中には不条理なことがたくさんある。

 

しかし、ときとして諦めてそれを受け入れるしかないのだ。

受け入れてこそ前が見えることもある。

本作で唯一の救いとも見えるラストシーンを見ると、こう思う。

 

【余談】

初めて本作を見たのが小学生のとき。

 

無人島でのサバイバルシーンでチャックが心の拠り所とするバレーボールのウィルソン。

そんな彼と主人公の別れのシーンにこれでもかというくらい涙した記憶がある。

しかし先日みた際は「考えようによっては滑稽なシーンだな」と思ってしまう自分がいた。

 

流れていく時間のなかで失ってしまうものがあるんだなとしみじみと思った。

本作の主人公がそうだったように。