青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

塩次伸二メモリアルライブ2017 @京都拾得 ライブレポート


4月29日(土)に京都拾得で行われた塩次伸二メモリアルライブのライブレポートです。

【開演前にホトケが】
初めての拾得で少し迷いながら会場へ。
会場前にホトケが。
いきなり過ぎてびびる。
サインをお願いすると快く応じてくれました。
いい人だ。。。
 
【拾得の雰囲気◎】
会場に入ると既にほぼ満席。
年齢層はやっぱり少し高めです。
皆さん開演前にお酒を呑んで楽しそう。
 
拾得の雰囲気がとても良い。
ライブハウスというより飲み屋といった感じ。
照明も提灯を使っていていい感じ。
 
ジュークジョイントってもしかしたらこんな感じの雰囲気やったんかな・・・と自然に空想してしまう。
そしてこれからどんなブルースを聴けるんだろうと考えると少しずつ胸が高鳴ってくる。
 
照明が落ちる。
このときの高揚感はライブハウスならでは。
何回経験してもこの瞬間はやっぱり興奮する。
 
【開演!】
最初に8823の演奏陣だけでの演奏。
ギターの田中さんの親指だけでのメロウなギターのサウンド。
伸ちゃんを思わせる泣きのスクイーズギター。
 
良い。。。
凄く良い。。。
バンド全体がつくりだす心地よいシャッフルビートに自然に体が動いてしまう。

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そこにvoの酒井ちふみさんが登場。
Hound dogのカバー!(もちろんビッグママソーントンのオリジナルのほうです)
圧倒的な歌唱力にひきずりこまれました。
 
数曲歌い終わったちふみさんがホトケの名前を呼ぶ。
客席から歓声があがる。
もちろん僕もその歓声を上げた人たちの中の一人だ。
 
【ホトケがステージに】
ステージにあがったホトケ。
手にはマディを思わせるキャンディアップルのテレキャスター

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始まったのは・・・
Tramp!!
ホトケの歌い方、レコードで何回も聴いてきたあの歌声だ!
オーディオスピーカー越しに聴いてきた声を生で聴いていることに感動。
 
ホトケがソロをとる。
あら結構器用にギターを弾きなさる。。。
普通にうまい。。。
テレキャスの高音域を更に強調した金属音に近いサウンドがフレーズに合う。
 
続いてT-Bone Shuffle
そう、1stと同じ流れ。
一緒にライブにきていた昔からのファンのKさんの顔がほころぶ。
 
ここでホトケのMCが入る。
「ウエストロードは拾得から始まった。エレキを弾ける箱がここしかなかったから」
喋る間の取り方が絶妙で会場は笑いに包まれる。
 
数曲ウエストロードナンバーが続く。
MCで「俺は伸ちゃんのギターソロの練習のためだけにT-BONEのギターを弾かされてた。。。本当は本番で弾きたかったけど弾かせてもらえんかった。。。」
なんとブルージーなエピソードだろうか。
会場大爆笑。
 
ツインボーカルのブルース】
ホトケのコールで酒井ちふみさんがステージへ。

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Baby what you want me to doが演奏される。
ツインボーカルで聴くブルースもいいなぁ。
コール&レスポンスが楽しかった。
 
続いてマジックサムのカバーでAll of your love
ちふみさんのリクエストでカバーしたとのこと。
嬉しくなってしまう選曲のセンスだ。
後半はほぼジャムセッションみたいな感じでプレイヤー目線で楽しんだ。
 
数曲演奏したのちアルバートキングのI play blues for you

I sing blues for youと歌うホトケ。
ホトケはこの歌詞通りウエストロードが解散した後もずっとブルースを歌い続けてきた。
不遇の時代もあっただろう。
一人の男の等身大のブルースに胸が熱くなった。
手が痛くなるくらい拍手した。
 
リトルリチャードのShake hands Shake handsが続く。
ちふみさんのバックボーカルが非常によかった。
 
【まさかのMCで。。。】
ここでMCが。
ホトケ「開演前にウエストロードのLive in KYOTOにサインをさせて頂いた方がいらっしゃいましたが。。。そのレコードにも入っている曲をやります」
 
そう、自分のことである。
嬉しすぎて少し泣きそうになった。
 
自分なりに解釈するとホトケさんも嬉しかったのだと僕は思う。
自分の孫くらいの世代の人間にLPにサインを欲しいとねだられるのはなかなかないもんね。
 
とにかく一生忘れない思い出になった。
 
【心に響いたAin't nobdy business】
 
「伸ちゃんがおらんかったらブルースやってなかった」
そういうホトケがアンコールの曲で歌ったのがAin't nobody business。
名曲中の名曲。
 
It ain't nobody business if I do
(誰もやらなくても俺はやるぜ)
 
何回も繰り返される歌詞。
脇目もふらずブルースを追いかけ続けるホトケが歌うから心に染みる。
ブルースは形ではなく生きざまだ。
 
歌い終わったホトケが静かにギターのストラップを外した光景が脳裏に焼き付いて離れない。
大満足のライブだった。
 
【最後に】
ホトケが自身のサイトでロバートジュニアロックウッドの来日講演について語っているページがある。
演奏を録音したホトケがテープを聴き返してみると「キョーリョクやなぁ!レコードと一緒やんか!」と興奮した自分の声と拍手がほとんどだったというオチ。
 
その言葉をそっくりそのままホトケに捧げたい。
僕がレコードでたくさん聴いたホトケの歌い方そのままだった。
 
そしてそのパワフルな歌声を届けるための土台をがっちり固めた8823の演奏力にも脱帽だ。
演奏がしっかりしてるからこそ安心してホトケの歌声に酔うことができた。
 
大満足で京都を後にした。
やっぱりブルースっていいなぁ。

 純粋にそう思った熱いライブでした。


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これがホトケさんにもらったサイン。
宝物になりました。

文章:菅原翔一
写真:菅原翔一