「落語とブルースって結局同じやねん!」ブルースを歌う落語愛好家「千里家やん愚」~インタビュー編~
さて前回の投稿の続き。
Facebookなどで反響があり嬉しい限りだ。
ここで裏話をひとつ。
Facebookでこのページをあげたところ、やん愚さんご本人からコメントが。
「落語家ちゃうし!落語愛好家にして!」とのことであった。
これはどういうことか。
自分に置き換えて考えてみる。
僕は趣味でギターを弾いているが自分のことをギタリストって言ってしまうのは何か恥ずかしい感じがする。
このような感覚なのであろうか・・・と思いながら落語家を落語愛好家に訂正した次第である。
本題に戻ろう!
今回は打ち上げでのインタビュー編!
ブルースと切っても切れないモノ、それが酒である。
このスペシャルアイテムで私たちはブルースにより少しだけ近づくことができる。
ブルースを愛する落語愛好家やん愚が少しブルースにいつもより近づいた状態でこのインタビューをお届けしたい。
●落語を始めたきっかけ
---早速ですがまず最初に落語家としてのやん愚さんに質問させて頂きたいと思います。落語を始めたきっかけについてお話頂けますか?
やん愚
「落語を始めたのは大学に入学してから。関西大学で目立ちたかったから。軽音とちょっと迷ったけど・・・」
---軽音でも目立つことはできたのではないですか?
やん愚
「そう!やけど軽音はバンドやからなぁ!落語は1人でやるからより目立つやん!」
---なるほど。それだから落語を。かなりのめり込んだでしょうか?
やん愚
「のめり込んだ!4年間で落語をやることがすっかり快感になってしまった!自分がしゃべると客が笑うんよ。これはもう麻薬に近い快感・・・笑」
---ある意味脱法ドラッグ的な笑 就職されてからも落語は続けていたのですか?
やん愚
「全くやってなかった笑 気づけば20年のブランク笑」
---何故、落語を再開しようと思ったのですか?
やん愚
「きっかけは10年前の関西大学のクラブ40周年のクラブ会。そのときに寄せをやることになって」
---それでまた火がついてしまった?
やん愚
「うん笑」
●ブルースを始めたきっかけ
---それでは続いてブルースマンとしてのやん愚さんにインタビューしていきたいと思います。ブルースを始めたきっかけについて教えてください。
やん愚
「4~5年ほど前やから結構最近やね。もともと憂歌団がメッチャ好きやった!勘太郎のギターも素晴らしいけど俺はやっぱり木村充揮!俺自身、歌うのが好きやったから」
---ブルースを始める前に歌は歌っていたのですか?
やん愚
「うん。ギターを中学のときに始めて、高校のときは軽音部に入ってた。流行ってたからフォークやってたよ。」
---ミュージシャンとしてのやん愚さんの原点はフォークだったのですね!誰が好きでコピーしてたのですか?
やん愚
「やっぱり陽水と拓郎!外せんやろ笑」
---フォークに行っちゃいそうなので話をブルースに戻しましょうか笑 本場アメリカのブルースマンだと誰が好きですか?
やん愚
「やっぱりロバートジョンソンはかっこええな。あとジョンなんたらフッカー笑 なんやったっけ?笑 名前がでてこんのや、外人は笑」
---ジョンリーフッカー?
やん愚
「そう!ジョンリーフッカー!あいつもごっつい好きや!あとレイチャールズもよく聴くよ。」
---3人とも歌唱力が非常にあるブルースマンですもんね。歌が好きなやん愚さんがブルースギターにのめり込んでいるとのことなのですが・・・?
やん愚
「なんか気持ちええねん!ブルースのギターってなんか気持ちええねん!今日のライブも弾いててごっつう気持ちよかったでぇ!」
●ブルースギターの師匠「カサスリム」
---ブルースのギターは独学なのですか?
やん愚
「カサスリムに習ってるねん!あいつのギターめっちゃ好き!」
(※カサスリムは「癒しのブルースマン」として京都を中心に活動するブルースマン。僕もやん愚さんと同じく大好きです笑)
---カサスリムさんとはどのようにして知り合ったのですか?
やん愚「Youtube」
---えらい一気に現代的になりましたね笑 カサスリムさんはやん愚さんにとってどのような人なのですか?
やん愚「最高のブルースギターの師匠!そしてそれと同時に俺のつくる歌の良き理解者なんよ。」
●オリジナル曲への思い
---今日、2曲演奏されていたオリジナル曲についてお聞かせください。「もうええやろ」と「困っちゃうね」。
やん愚
「ええ曲やろ。もうええやろはブルースのリズムから生まれた曲なんやわ。ブルースのリズムから浮かんできた。」
ーーー自然発生的な!笑 「困っちゃうな」はどうですか?
やん愚
「これはもう自分なりのブルース。好きなように生きていたいよね、みたいな。」
ーーー男はいつでも自由に生きていたい動物ですからね。だから琴線に触れるのでしょうね。
●落語とブルースって結局同じやねん!
ーーーさて、ここまで落語愛好家としてのやん愚さんとブルースマンとしてのやん愚さんを別々にインタビューしてきた訳ですが・・・。今まで落語とブルースを並行してやってきた中で見える落語とブルースの共通点のようなものはありますか?
やん愚
「確実にある!というかもう落語とブルースって結局同じやねん!」
(落語とブルースへの熱い思いが酒でさらに熱くなる!)
ーーーもっと詳しくお聞かせ願えますか?
やん愚
「まず基本のルールがどちらともあること。落語やったら枕があって、本題があって、それからオチ(サゲ)がある。ブルースは基本的には12小節で決められたコード進行がある。まずそこが似てる!そしてそのルールの中で自由がある!そこが面白い!」
ーーーなるほどルールの中でどちらとも思い切り遊べると笑
やん愚
「そう!リズムなんやな、結局はどっちとも。リズムが大切やで。そして音感。落語にも音感が大事なんやで。」
ーーー落語で音感ですか!?歌わないですよね?
やん愚
「確かに落語で歌うことはないよ。でもセリフの言い方があるやろ。それを強く、もしくは弱く言うなどで伝わり方は全然違ってくる。これはもはやメロディーセンスなんよね。」
ーーーなるほど!そう考えると落語とブルースって共通していますね。
やん愚
「ブルースをやることによって音楽的に落語が捉えられるようになった面はやっぱりある。落語をやってて自分の頭の上に指揮者がいるような感覚。落語とブルース、やっぱりどっちとも楽しいで!」
ーーー最後に熱いブルースと落語に熱いメッセージを!
やん愚
「これだけは言わせて。落語の世界でもブルースの世界でも古典ばっかり偉いと思って持ち上げる連中がたくさんおんねん。でも俺達は今を生きてる訳ですやん。やかり落語でもブルースでも古典のモノマネ、コピーばっかりしていくのはどうかと思う。もっと自由にやればええんとちゃうか。落語とブルースと結局同じやねん。」
こう言ってやん愚は笑いながらグラスに注がれた日本酒をぐいっと飲み干した。
空のグラスがテーブルの上でコトっと子気味良い音を立てた。
ブルースを歌う落語愛好家やん愚は「現代」を生きるブルースマンであり落語愛好家であった。
落語とブルースは結局同じというやん愚の言葉。
この言葉を聞いてやん愚のもうええやろの歌詞が頭に浮かぶ。
もうええやろ 自分が大好きでええやろ
中途半端は もうええやろ
底まで落ちたら ええねん
赦し。
落語とブルースの本質にあるものは赦しだ。
落語、ブルースにでてくる人間でロクな人間はあまりいない笑
浮気もする。
酒も飲む。
嘘もつく。
ギャンブルもする。
落語とブルースはそんな彼らをそしてそれに触れる私たちを「それでもええんやで」と肯定する。
そのの本質を「もうええやろ」という言葉で表したやん愚。
この「もうええやろ」の根底に流れるポジティブな赦しに是非とも生で触れて欲しい。
本人はこれからもドンドン活動していくとかなり意欲的!
関西圏にお住まいの方は是非とも寄せへどうぞ!
文章:菅原翔一
協力:やん愚さん(ありがとうございました!)
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