青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

築80年の京町屋を改修!ブルースマンが営むギターショップ「ライトニン」は御縁が生まれる場所だった

皆さんは「京町屋」をご存知でしょうか。

1950年以前に京都市内で建てられた木造家屋のことをひとくくりにして「京町屋」といいます。(定義は様々で人によって見解が微妙に異なるようです)

老朽化が進むなどで取り壊されてしまう京町屋も多い中、飲食店にしたり、地域のコミュニティスペースにしたりするなど京町屋を活用する機運が高まっています。

 

そんな京町屋を改修したギターショップが京都市釜座(かまんざ)通りにあります。

お店の名前は「ライトニン」。


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今回はライトニンのオーナーである栗田寛人さんのご協力のもと、ライトニンをご紹介させて頂きます。

 

結論から言うと、ブルースが好きな人、そしてギターを愛する人にとって堪らないアツイお店でした!

 

  • 古い国産ギターの魅力
  • ギターショップという仕事について
  • 誰でも手軽にできるギターのメンテナンス方法
  • オーナー栗田さんが思うブルースの魅力とは?

 

 

などなど

ギターショップオーナーとして今まで数えきれないギターを修理、販売、そしてブルースギタリストとして月に約10回ものライブ出演をする栗田さんへのインタビューを交えながらお伝えします。

 

【ギターショップライトニンとは?】

昭和の面影があちこちに見えるどこか懐かしい京都市釜座通りにギターショップ「ライトニン」はあります。


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なんと築80年の京町屋を改修したギターショップ!

このようなお店はもちろん京都でただひとつ!

 

なんとなくおばあちゃんの家にきたような懐かしい感覚になります。


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(懐かしの白黒テレビ!)

【年代物のギターがたくさん!】

ライトニンが扱うのは主に中古ギター。

店内は年代物のギターが所狭しと並んでいます。


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ギブソンフェンダーなど「ヴィンテージ」と呼ばれるアメリカ本国のギターもありますが、メインで並んでいるのは60年代から80年代の昭和生まれの国産ギター。

 

ギターそれぞれに様々な生い立ち、経歴があるのでしょうが、どのギターも

「よく来たなぁ。ゆっくりしてってやぁ。」

と言っているようです。

 

確かに楽器店で「私を見て!」と言わんばかりにキラキラと輝くギターも魅力的です。

しかし、ここにある楽器からはある種の大人の余裕、落ち着きを感じます。

 

 

 

【オーナー栗田さん】

「いらっしゃい、お待ちしておりました」

とても柔らかい口調でニッコリ微笑むオーナーの栗田さん。

取材に快く応じてくださいました。

 


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(この親指がブルースマンだぁ〜!)

 

ギターを修理、販売するのみならずご自身も「ライトニン栗田」としてブルースバンドでギターを弾く生粋のブルースマン

ライブ活動はなんと月に10本を超えることも。

 

【ライトニンの名前の由来】

 

まずブルース好きとして聞かなければならないことが栗田さんにありました。

ライトニンというドンズバな名前。

 

一体、ホプキンスのほうなのか!?スリムのほうなのか!?

 気になって取材前日の夜は眠れませんでした。(嘘です。すき家で夜勤してました。)

 

「スリムですね~、大好きなんです。」

 

自信のブルースマンネームにもライトニンを使ってしまうくらいのライトニンスリムフリーク!

(ちなみにライトニンホプキンスもお好きとのことでした)

お店にブルースマンの名前をつけてしまうくらいブルースが好きなのが伝わってきます。

 

店内に流れるBGMももちろんブルース。

 

【入荷したギターは全てオーバーホール】

 

ライトニンの魅力は雰囲気だけではありません。

なんとお店に並ぶギターは全て栗田さんが分解、リペアをしてから再度組み上げているのです。

低価格帯のもの、高価格帯のもの関係なしです!

フレットの摺合せなど手間がかかる作業も含め1本1本徹底したオーバーホールがされています。

 

「手間をかけてメンテナンスをしたギターが売れるときは嬉しいような悲しいような気持になりますね。でも手放すっていうのが僕の仕事ですから(笑)。」

 

栗田さんの目元の笑いシワが深くなりました。

 

「今まで星の数ほどギターをリペアしてきて正直記憶に残っていないものもかなりあります。でもライブなどで自分がオーバーホールしたギターを見ると、そのギターのことをしっかり思い出すんですよ(笑)」。

 

 

【昔の国産ギターの魅力】

そんな数えきれないギターをメンテナンスしてきた栗田さんにオールドの国産ギターの魅力を訪ねてみました。

 

「やっぱり木の質ですね。」

即答する栗田さん。

 

「ギターの値段=木の質と言ってもいいくらいなんですよ。やっぱり良い木は耐久性も良い。そんな簡単に壊れない。昔の国産はやっぱりいい材を使っています。」

 

そして、グレードの高い木を使ってギターを組み上げるギター職人の仕事にも言及。

 

「やっぱり昔の職人さんの長くギターを使って欲しいという心意気なようなものを感じますね。それはここの造りがよいとか、ここの配線が良いという話ではありません。ギターを見て、触ってそこから感じとるんです。」

 

長く使える耐久性を持つ材、そしてユーザーに長くギターを使って欲しいという職人の気概。

それが合わさり、結果として素晴らしいギターが生産されたのでしょうね。

 

そんなギターを現代のプレーヤーに再び愛されるようにメンテナンスをして販売する。

それが栗田さんのお仕事です。

 

「楽器」の魅力の本質なようなものを感じます。

 

【弾くことが一番のメンテナンス】

 

メンテナンスのプロ中のプロである栗田さんに一般のギタープレーヤーが手軽にできるメンテナンス方法を聞いてみました。

 

「やっぱり使わんとあきません!!人が住んでない家は早く傷んでしまうって言いますけど、それと同じでギターもじっとさせたらあきません!」

 

ギター(特にエレキギター)は様々な部品が搭載されています。

それを弾くことによって振動を与えパーツの固着を防ぐ。

それがギターにとってベストな状態を維持する最良の方法とのことです。

 

それを聞きながらムズムズとギターが弾きたくなりました。

 

 

【栗田さんがブルースにのめり込むきっかけ】

 

栗田さんがブルースにのめり込むきっかけになったのは大学生のときに聴いたジュニアウェルズとバディガイの「Play the blues」。

 

 

Buddy Guy & Junior Wells Plays The Blues (US Release)

Buddy Guy & Junior Wells Plays The Blues (US Release)

 

 

 

自分のギターがどれくらい通用するか知りたいという想いから27歳でブルースバンドを結成し活動。

 

栗田さんはそれまではベーシストとして活動していたのでそのバンドがギタリストしてのデビューでした。

 

バディガイの他にT-BONEのようなテキサス系のギタリストからも大きな影響を受けました。

 

【栗田さんのブルース名盤ベスト3】

栗田さんにブルース名盤ベスト3を選んで頂きました。

 

「なかなか選べませんよ~(笑)」

悩みに悩んで選んでくださったのが・・・

 

 Stax Profiles(Little Milton)

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 Dot Com Blues(Jimmy Smith)

Dot Com Blues

Dot Com Blues

 

 ドキュメンタリー「Chicago Blues」サウンドトラック(オムニバス)

 

 の3枚。

渋すぎます。

 

【ブルースの魅力とは】

最後にギターショップオーナーとして、そしてブルースマンとしての2つの顔を持つ栗田さんにブルースの魅力を語って頂きました。

 


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「うーん、正直よう分かりませんねぇ。でも知らない間にはまって抜け出せんくなってしまうのがルーツミュージックの醍醐味とちゃいますか?ギターとか楽器って一番がない世界。テクニックも大事ですけど、心、マインドで表現する。人の心に触れることのできる部分。そこに気付くとき人はブルースにのめり込むのではないでしょうか?」

 

【最後に】

京町屋を改修して作られたギターショップ「ライトニン」。

ブルースとギターを愛してやまない栗田さんが営むとても素敵なお店でした。

 

当然ですがお店に並べられるギターが1本1本がそれぞれの歴史を歩んできました。

プロのミュージシャンの音楽をガッツリ支えたギターもあるでしょう。

高校の文化祭以降、ずっと押入れにしまったままになったギターもあるでしょう。

それらのギターが80年の歴史を辿った京町屋に集まり、栗田さんによってリペアされ楽器としての新しい人生を待つ。

 

ギターも、家屋も、人間(プレイヤー)もそれぞれが異なった時間軸、空間軸の中で生きています。

それらが不思議に重なり合うことを私たちは「御縁」と呼ぶのでしょう。

ただ単にギターが売り買いされるのでなく「御縁」が生まれる場所。

それが「ライトニン」だと私は思いました。

 

 

京町家のギターショップ 【ライトニン】 京都 中古ギターの買取・委託販売・修理の専門店

住所:京都府京都市中京区釜座通丸太町下ル桝屋町155-4

営業時間:14:00-20:00

基本定休日:水曜日/祝日

 

 

文章:菅原翔一

協力:ライトニンオーナー栗田様(ありがとうございました!)