岡本太郎の怒りに今すぐ感染せよ! 岡本太郎「美しく怒れ」
世界をこの目で見ぬきたい。
目に触れ、手にさわる、すべてに猛烈に働きかけ、体当たりする。
ひろく、積極的な人間像を自分自身につかむために。
純粋な衝動である。
そんな情熱が激しく噴出するとき、それは憤りの相を呈する。
だから私は怒る。
また大いに怒らなければならないと思っているのだ。
これはこの本の書き出しだ。
この本のテーマはズバリ「怒り」だ。
それにしても岡本太郎、ハナからぶちぎれている。
この不器用なまでに真っ直ぐな文章が僕はとても好きだ。
まず岡本太郎も本書で説明しているがこの本で取り上げられている「怒り」は「鬱憤」なんかではない。
鬱憤はしめっぽい陰湿な感情である。
しかし岡本太郎の定義する怒りは人間の純粋な憤り。
純粋な感情であるのでカラッとしている。
何でみんな怒りの感情を表に出せないのかと岡本太郎の怒りはそこにも向かう。
もっとみんな自分を出し激しくぶつかりあえばいいのに、と。
現代の日本の空気は少し息苦しい。
多分、共感してくれる人は多いと思う。
その息苦しさの原因は不況の影響ももちろんあるだろう。
しかし、根本的な原因は誰もぶつかり合わないからだと思う。
ぶつかるのはしんどい、めんどくさいから自分を我慢しよう。
だから「鬱憤」がたまる。
その「鬱憤」が大気に流れ込み、息苦しくなってしまうのはないだろうか。
今こそ、岡本太郎の怒りに大いに感染しようではないか。
賞味期限が切れた人は読まなくてよろしい。
今を生きる旬な人に読んで欲しい。
ちなみに岡本太郎の本ってたくさん出版されてるけど主張していることはほとんど一緒だったりする。
本当にブレない人だったんだな。
文章:菅原翔一