青がきこえる

ブルースの底なし沼へようこそ

澱んだ側溝と白いサギ(と安陪政権)

今日、起き掛けになんとなしに散歩でもしようと家を出た。

僕の家のすぐ側に側溝がある。

水量はそれほどないので流れが悪い。

流れが悪いと当然、水が澱んでお世辞にも綺麗とは言えない。

 

そんな側溝からバサッと突然大きな音が聞こえた。

びっくりして側溝のほうを見ると、大きくて真っ白なサギがその側溝から正に飛び立つところであった。

澱んで汚い側溝と真っ白くて綺麗なサギの羽のコントラストの光景が写真のように切り取られた。

 

何故かそれにとても感動した。

 

飛び立ったサギは僕の頭上を遥かに飛び越えて、ゆっくり旋回して家屋の屋根にとまった。

 

そのサギの様子を見ながら僕は何故側溝とサギに感動したのか考えた。

暫くして答えが閃いた。

 

人間はどんな環境であっても心の持ちようで美しく生きていけるのである。

澱んだ側溝は自身の置かれた環境、世相で白いサギは心のありようのメタファーだったのだと僕は思う。

 

よくツイッターなどで安陪政権だから・・・とか不景気だだから・・・などのネガティブな投稿をよく見かける。

 

安陪政権、結構じゃないか。

不景気、結構じゃないか。

 

どんなに世の中が澱んでいようとその人の心のありようが美しければ美しく生きていける。

厭世になってはいけない。

問題はいつも自分の中にある。

 

側溝の汚れを背景にしたサギの真っ白い羽は雪のように美しかった。

 

 

 

10,154kmを飛び越えるブルースピアノ 10月7日アリヨさんのライブレポート

10,154km。

日本からシカゴへの距離である。

そんな遠く離れたシカゴへ移住し、ブルースピアノを弾くピアニストがいる。

それが有吉須美人、通称アリヨだ。

 

そんなアリヨのブルースピアノを聴きたくて京都のRAGまで足を運んだ。

開場時間の1時間ほど前に会場に到着したのだがもう4,5名ほど女性客が。

どうもアリヨさんの高校の同級生っぽい。

このライブはプチ同窓会も兼ねていたのであった!(皆さん懐かしそうに昔話をされていてとても楽しそうでした!)

 

開場時間に近づくにつれてどんどんお客さんが増えるわ、増える。

整理番号が後ろのほうだったから、席が後ろの方になってしまう!という焦りのような気持ちと、こんなにブルースを愛してくれている人がいるのか!という嬉しい気持ちが混ざり合うなんとも不思議な気持ちになった。

 

開場!

整理番号順に会場になだれ込むお客さん。

席はやっぱり後ろのほうなんだろうなと諦めていたけど難なく最前列に座れた。

アリヨの反対方向だったからアリヨのブルースを弾く姿の全体像がしっかり見れるいい席でした。

ラッキー!!

 

開演!!


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アリヨの指から紡ぎだされるブルースから何となくシカゴの冷たい空気が鼻に入ってくるような気がした。

何とも心地の良いシャッフル。

楽しすぎる~!

思い切りノリノリで聴いてしまう。

 

バンドはこのライブのためにつくられた1回きりのバンド。

リハーサルも2時間ほどらしくメンバーも探り探りで少しぎこちない。



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そんな中、京都で活躍するブルースユニット、TWINSの双子の兄の方の小竹直さんが実に全体の音を聴いて、バンドサウンドを盛り上げるためのギターを弾いていたのが印象的だった。(一瞬でファンになりました!)

少しずつ息が合ってくるバンドにこれが音楽やなぁ!と妙に興奮してしまう私。

 

アリヨはもう弾きまくり!

終始笑顔でノリノリだ!

お客さんはもっとノリノリ!

そう、ブルースってこんなに楽しくて嬉しいんだよ。

 

シカゴブルースの名曲がたくさん演奏されていく中、印象に残ったのが2曲。

リトルウォルターのMy BabeとベッシースミスオリジナルのAin't Nobody Business。

この2曲に共通するのが僕の大好きなブルースマンのロバートジュニアロックウッド。

My Babeでは凄くキャッチーなバッキングを弾いているし、Ain't Nobody Businessでは2回目の来日公演でとても感動的な演奏をしている。

 

My Babeはアリヨのアレンジでリズムが原曲と一風変わっていてとても面白かった!

「俺のアレンジやから!」っていつも強調しているとMCで。

強調して頂かないと!それくらいとっても面白いリズム!

 

そしてなんとAin't Nobody Businessではロックウッドの来日ライブでアリヨが弾いていたピアノソロを自分の耳で聴くことができた!

 

なんとなくピアノを弾いているアリヨの傍でロックウッドが静かに微笑みかけているのが見えたような気がする。

それに涙腺が思わず緩む。

 

ライブ終了後にアリヨさんに失礼千万なのは承知でロックウッドはどんな人でしたか?と聞いてみた。

 

「好々爺でしたよ。僕には凄く優しくしてくれたけど音楽には物凄く厳しい人でした。」

アリヨさんが笑顔で答えてくれた。

僕がロックウッドのアナログレコードを聴きながら想像してきたロックウッドと一致していたのが嬉しかった。

 


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アンコール後のGot My Mojo Workin'は大盛り上がり!

Nacomi & The Blues TempleのNacomiさんが乱入したりと大人数で賑やか!

もうコール&レスポンスのガタマイモウジョワーキン!は拳振り上げて一緒に歌ってました笑

 

多分、ブルースを普段聴かないであろう上品そうなおばちゃん(失礼!)が立ち上がってノリノリで踊りまくる!

これを見て涙がでるほど僕は嬉しくなったのです。

そう、おばちゃん(失礼!②)、ブルースってこういうことなんやね。

凄く楽しくて嬉しくなっちゃうんよね。

 

最後にアリヨさんのヴギウギピアノでステージは締めくくられた。

大満足で会場を後にした。

 

 10,154kmという距離を飛び越えてブルースピアノを弾きつづけるアリヨ。

 

「ブルースっていうのはそいつの生き様のことやろうが」

僕にブルースの泥沼にはまるきっかけを与えてくれたとある喫茶店のマスターに言われた大事な言葉がある。

 

語弊を恐れずに言うのであれば僕はアリヨさんのピアノには感動しなかった。

ピアノの音を通して伝わってくるアリヨさんの生き様に深く感動したのだ。

 

生き様は自分で決めればよい。

自分らしく、という曖昧な言葉はひとまず置いておこう。

自分が納得できることを精いっぱいやろう!

アリヨさんのブルースピアノがそれを教えてくれた。

 

文章:菅原翔一

生活者としてのブルース。オーティスラッシュ逝く。


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9月29日にオーティスラッシュが天国へ旅立った。

享年83歳。

 

僕がオーティスラッシュの大好きだったのは生活者としてのブルースを演奏していたから。

音楽を表現としてではなく生活のために演奏する。

 

戦前のブルースマンは表現としてギターを弾いていただろうか?

否、生活のためである。

それに近いものをラッシュから感じるのである。

 

それでも、一度ステージにあがれば出てくるサウンドは凄みのある迫力!

そして熱いサウンドと対象に表情はクールというギャップ萌えである。

 

生活。

それは文字通り生きていくための活動である。

 

生活に疲れてなんかいられない。

男は働いて、生活を回していくんだ。

 

ラッシュのギターはそんな当たり前のことを僕に教えてくれる。

 

安らかにオーティスラッシュ。

これからもずっと大好きだよ。

 

文章:菅原翔一

 

【ライブ情報】10月、本場シカゴで活躍する日本人ブルースピアニスト有吉須美人さんが日本に!@京都&大阪

アリヨの愛称で知られる本場シカゴで活躍する日本人ピアニスト有吉須美人さんが10月、日本に里帰り&ライブをします!

会場は京都と大阪なので関西圏に住んでいるブルースファンは是非とも!

 

  • 10月7日(日)→RAG@京都
  • 10月12日(金)→雲州堂@大阪

の2本のみ!

 

 

<<<<< 10月7日(日曜) 京都 RAG >>>>>

【チョット帰って来ました!有吉須美人(アリヨ)と同級生の遊びライブ】

有吉須美人(P,Vo from シカゴ)
西野やすし(Vo,G)
堀尾哲二(Ds)
ゲスト/
小竹ただし(Vo,G)
山田晴三(B)

開場18:00/開演19:00
前売3000円/当日3500円:学生前売2500円/学生当日3000円

 

 

<<<<< 10月12日(金曜) 南森町 雲州堂 >>>>>

【チョット帰って来ました!有吉須美人とアリヨズシャッフル+小竹兄】

アリヨズ・シャッフル
有吉須美人(p.vo)
田中晴之(g)
ダンカン林(b)
四宮知之(d)
ゲスト/小竹ただし(vo.g)

開場18:30/開演19:30
予約¥3000/当日¥3500
—————–
◆雲州堂の電話予約
06-6361-3903
◆メール予約
info@iori-unshudo.com
件名を「イベント名○○○」として名前/人数/電話番号明記。雲州堂からの返信を持って予約完了。

雲州堂
地下鉄南森町駅から徒歩直ぐ
http://www.iori-unshudo.com/access/

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最後にアリヨさんとジュニアロックウッドの共演動画を。

これが生で見られるんですよ?

行くしかないでしょ!

 

 

www.youtube.com

 文章:菅原翔一

情報提供:Mさん(ありがとうございます!)

ビザールな形をしたサムピックFRED KELLYの「Speed Pick」が使いやすい件について

最近、サムピックを練習中。

 

サムピックを使わないサウンドも好きなのですが演奏の幅を広げるためにサムピックもできたほうがいいなーと。

 

サムピックの利点として

  • ベース音がハッキリして輪郭がでる
  • 親指を伸ばさないと上手く弾けないので必然的にフォームがよくなる
  • 歯切れの良いパーカッシブなリズムが出せる(ロバートジョンソンみたいな)
  • 慣れたら早くピッキングできる
  • サムピックも使えるぜ!アピールができる

 

 

などが挙げられます。

 

しかしこのサムピックというやつなかなか僕には扱いづらい...

 

狙った弦に上手くあたらない!

弦にサムピックのカーブ部分が思い切り引っかかる!

 

うぎーーーー!!!

 

めっちゃストレスたまりますやん...

(楽しいけどね)

 

そんな中、サウンドハウスで購入したFRED KELLY(フレッドケーリー)の「Speed Pick」がかなり良い感じだったのでレビューします!



 

ビザールな見た目


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兎にも角にもまずこの個性的なルックスをご覧ください。

ビザールギターという60年代-70年代を中心に生産されたいびつな形をした日本製ギターがありますが...

このピックは正しくビザールピックと呼ぶべきでしょう。

それに相応しいルックスです。

(ヘンテコなルックスに惹かれて買いました笑)


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裏返すとフォークっぽい。。。

 

見た目とのギャップが半端ない!

このサムピック、なんと見た目に反してかなり使いやすい。

弦に当たる部分が通常のピックより狭い+スティック状になっているので、狙った弦にヒットしやすいのです。

引っかかりもありません!

 

抜けが良くて明るいサウンド

サウンドは抜けのよい明るいサウンド

ベース音がスコーンと抜けるので親指はかなり楽できます。

(逆にミスするとかなり目立ちます笑)

 

ラグタイムにオススメ!

このサムピック、ラグタイムに相性がいいかなと個人的に思っています。

タンブリングベース(6弦→5弦、5弦→4弦をつまづくように弾く奏法)を弾く時にコントロールしやすい!

またベースとメロディーがハッキリと分かれるのでラグのキラキラした感じにマッチします。

 

まとめ

FRED KELLYの「Speed Pick」。

いびつな形にも関わらず意外と使いやすいギャップ萌えなサムピックです!

ラグタイムのお供にどうぞ!

築80年の京町屋を改修!ブルースマンが営むギターショップ「ライトニン」は御縁が生まれる場所だった

皆さんは「京町屋」をご存知でしょうか。

1950年以前に京都市内で建てられた木造家屋のことをひとくくりにして「京町屋」といいます。(定義は様々で人によって見解が微妙に異なるようです)

老朽化が進むなどで取り壊されてしまう京町屋も多い中、飲食店にしたり、地域のコミュニティスペースにしたりするなど京町屋を活用する機運が高まっています。

 

そんな京町屋を改修したギターショップが京都市釜座(かまんざ)通りにあります。

お店の名前は「ライトニン」。


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今回はライトニンのオーナーである栗田寛人さんのご協力のもと、ライトニンをご紹介させて頂きます。

 

結論から言うと、ブルースが好きな人、そしてギターを愛する人にとって堪らないアツイお店でした!

 

  • 古い国産ギターの魅力
  • ギターショップという仕事について
  • 誰でも手軽にできるギターのメンテナンス方法
  • オーナー栗田さんが思うブルースの魅力とは?

 

 

などなど

ギターショップオーナーとして今まで数えきれないギターを修理、販売、そしてブルースギタリストとして月に約10回ものライブ出演をする栗田さんへのインタビューを交えながらお伝えします。

 

【ギターショップライトニンとは?】

昭和の面影があちこちに見えるどこか懐かしい京都市釜座通りにギターショップ「ライトニン」はあります。


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なんと築80年の京町屋を改修したギターショップ!

このようなお店はもちろん京都でただひとつ!

 

なんとなくおばあちゃんの家にきたような懐かしい感覚になります。


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(懐かしの白黒テレビ!)

【年代物のギターがたくさん!】

ライトニンが扱うのは主に中古ギター。

店内は年代物のギターが所狭しと並んでいます。


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ギブソンフェンダーなど「ヴィンテージ」と呼ばれるアメリカ本国のギターもありますが、メインで並んでいるのは60年代から80年代の昭和生まれの国産ギター。

 

ギターそれぞれに様々な生い立ち、経歴があるのでしょうが、どのギターも

「よく来たなぁ。ゆっくりしてってやぁ。」

と言っているようです。

 

確かに楽器店で「私を見て!」と言わんばかりにキラキラと輝くギターも魅力的です。

しかし、ここにある楽器からはある種の大人の余裕、落ち着きを感じます。

 

 

 

【オーナー栗田さん】

「いらっしゃい、お待ちしておりました」

とても柔らかい口調でニッコリ微笑むオーナーの栗田さん。

取材に快く応じてくださいました。

 


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(この親指がブルースマンだぁ〜!)

 

ギターを修理、販売するのみならずご自身も「ライトニン栗田」としてブルースバンドでギターを弾く生粋のブルースマン

ライブ活動はなんと月に10本を超えることも。

 

【ライトニンの名前の由来】

 

まずブルース好きとして聞かなければならないことが栗田さんにありました。

ライトニンというドンズバな名前。

 

一体、ホプキンスのほうなのか!?スリムのほうなのか!?

 気になって取材前日の夜は眠れませんでした。(嘘です。すき家で夜勤してました。)

 

「スリムですね~、大好きなんです。」

 

自信のブルースマンネームにもライトニンを使ってしまうくらいのライトニンスリムフリーク!

(ちなみにライトニンホプキンスもお好きとのことでした)

お店にブルースマンの名前をつけてしまうくらいブルースが好きなのが伝わってきます。

 

店内に流れるBGMももちろんブルース。

 

【入荷したギターは全てオーバーホール】

 

ライトニンの魅力は雰囲気だけではありません。

なんとお店に並ぶギターは全て栗田さんが分解、リペアをしてから再度組み上げているのです。

低価格帯のもの、高価格帯のもの関係なしです!

フレットの摺合せなど手間がかかる作業も含め1本1本徹底したオーバーホールがされています。

 

「手間をかけてメンテナンスをしたギターが売れるときは嬉しいような悲しいような気持になりますね。でも手放すっていうのが僕の仕事ですから(笑)。」

 

栗田さんの目元の笑いシワが深くなりました。

 

「今まで星の数ほどギターをリペアしてきて正直記憶に残っていないものもかなりあります。でもライブなどで自分がオーバーホールしたギターを見ると、そのギターのことをしっかり思い出すんですよ(笑)」。

 

 

【昔の国産ギターの魅力】

そんな数えきれないギターをメンテナンスしてきた栗田さんにオールドの国産ギターの魅力を訪ねてみました。

 

「やっぱり木の質ですね。」

即答する栗田さん。

 

「ギターの値段=木の質と言ってもいいくらいなんですよ。やっぱり良い木は耐久性も良い。そんな簡単に壊れない。昔の国産はやっぱりいい材を使っています。」

 

そして、グレードの高い木を使ってギターを組み上げるギター職人の仕事にも言及。

 

「やっぱり昔の職人さんの長くギターを使って欲しいという心意気なようなものを感じますね。それはここの造りがよいとか、ここの配線が良いという話ではありません。ギターを見て、触ってそこから感じとるんです。」

 

長く使える耐久性を持つ材、そしてユーザーに長くギターを使って欲しいという職人の気概。

それが合わさり、結果として素晴らしいギターが生産されたのでしょうね。

 

そんなギターを現代のプレーヤーに再び愛されるようにメンテナンスをして販売する。

それが栗田さんのお仕事です。

 

「楽器」の魅力の本質なようなものを感じます。

 

【弾くことが一番のメンテナンス】

 

メンテナンスのプロ中のプロである栗田さんに一般のギタープレーヤーが手軽にできるメンテナンス方法を聞いてみました。

 

「やっぱり使わんとあきません!!人が住んでない家は早く傷んでしまうって言いますけど、それと同じでギターもじっとさせたらあきません!」

 

ギター(特にエレキギター)は様々な部品が搭載されています。

それを弾くことによって振動を与えパーツの固着を防ぐ。

それがギターにとってベストな状態を維持する最良の方法とのことです。

 

それを聞きながらムズムズとギターが弾きたくなりました。

 

 

【栗田さんがブルースにのめり込むきっかけ】

 

栗田さんがブルースにのめり込むきっかけになったのは大学生のときに聴いたジュニアウェルズとバディガイの「Play the blues」。

 

 

Buddy Guy & Junior Wells Plays The Blues (US Release)

Buddy Guy & Junior Wells Plays The Blues (US Release)

 

 

 

自分のギターがどれくらい通用するか知りたいという想いから27歳でブルースバンドを結成し活動。

 

栗田さんはそれまではベーシストとして活動していたのでそのバンドがギタリストしてのデビューでした。

 

バディガイの他にT-BONEのようなテキサス系のギタリストからも大きな影響を受けました。

 

【栗田さんのブルース名盤ベスト3】

栗田さんにブルース名盤ベスト3を選んで頂きました。

 

「なかなか選べませんよ~(笑)」

悩みに悩んで選んでくださったのが・・・

 

 Stax Profiles(Little Milton)

Stax Profiles: Little Milton

Stax Profiles: Little Milton

  • アーティスト: リトル・ミルトン
  • 出版社/メーカー: Concord Records, Inc. (UMG Account)
  • 発売日: 2018/07/12
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 Dot Com Blues(Jimmy Smith)

Dot Com Blues

Dot Com Blues

 

 ドキュメンタリー「Chicago Blues」サウンドトラック(オムニバス)

 

 の3枚。

渋すぎます。

 

【ブルースの魅力とは】

最後にギターショップオーナーとして、そしてブルースマンとしての2つの顔を持つ栗田さんにブルースの魅力を語って頂きました。

 


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「うーん、正直よう分かりませんねぇ。でも知らない間にはまって抜け出せんくなってしまうのがルーツミュージックの醍醐味とちゃいますか?ギターとか楽器って一番がない世界。テクニックも大事ですけど、心、マインドで表現する。人の心に触れることのできる部分。そこに気付くとき人はブルースにのめり込むのではないでしょうか?」

 

【最後に】

京町屋を改修して作られたギターショップ「ライトニン」。

ブルースとギターを愛してやまない栗田さんが営むとても素敵なお店でした。

 

当然ですがお店に並べられるギターが1本1本がそれぞれの歴史を歩んできました。

プロのミュージシャンの音楽をガッツリ支えたギターもあるでしょう。

高校の文化祭以降、ずっと押入れにしまったままになったギターもあるでしょう。

それらのギターが80年の歴史を辿った京町屋に集まり、栗田さんによってリペアされ楽器としての新しい人生を待つ。

 

ギターも、家屋も、人間(プレイヤー)もそれぞれが異なった時間軸、空間軸の中で生きています。

それらが不思議に重なり合うことを私たちは「御縁」と呼ぶのでしょう。

ただ単にギターが売り買いされるのでなく「御縁」が生まれる場所。

それが「ライトニン」だと私は思いました。

 

 

京町家のギターショップ 【ライトニン】 京都 中古ギターの買取・委託販売・修理の専門店

住所:京都府京都市中京区釜座通丸太町下ル桝屋町155-4

営業時間:14:00-20:00

基本定休日:水曜日/祝日

 

 

文章:菅原翔一

協力:ライトニンオーナー栗田様(ありがとうございました!)

 

 

 

 

 

柳ジョージに泣いてる・・・・・・ 柳ジョージ「YOKOHAMA」

日の入りが随分早くなった。

季節はいつの間にか移り変わる。

あの猛威を振るった夏の名残はまだ見られるがいつの間にかいなくなるんだろうな。

 

こういう季節の移り変わりは少しセンチメンタルな気持ちになるので、柳ジョージを聴きたくなる。

 

今日紹介するのは柳ジョージ&レイニーウッドの「YOKOHAMA」。

 

 

このアルバムについて

このYOKOHAMAは1979年にバーボンレコードによってリリースされた作品。

2ndアルバムで大ヒットしたWeeping In The Rain(雨に泣いている)の日本語版が収録されているのがLPの帯で推されているが・・・

 

ぶっちゃけこのバージョンあんまりよくない

 

このアルバムの魅力はなんといってもB面だ!

というかB面が良すぎる!

 

B面が名曲揃い!

 

いやA面も悪くないんですよ。

しかしそれを押しのけてしまうくらいB面は名曲揃いだ。

 

まずB面1曲目の港亭から素晴らしい。

歌い出しから

波が荒いね 今日もまた

あと1杯で もう止すよ

酔ったからって ふられた奴が

もどってくるあて あるじゃなし

強がってしまう不器用な男のアンセムだ。

感想の音数の少ない泣きのギターソロが曲に花を添えている。

 

柳ジョージは生前インタビューで

「「自分がだらしないので、歌だけはカッコイイ男の歌を歌ってるんです」

と語っていたがその人柄がよくこの楽曲に現れていると思う。

 

しっとりしたバラードに続くのは静寂を打ち破るかのような「グルービーガール」。

ベースがグイグイひっぱるアップテンポなナンバーだ。

バンドのグルーブに小躍りしてしまうこと間違いなしだ。

 

「へイダーリン」

「チャイニーズクイーン」

本牧綺談」

 

という傑作が続いたあとの締めは「FENCEの向うのアメリカ」。

 

FENCEの向こうのアメリ

 

FENCEの向こうのアメリカとは説明するまでもないが米軍基地のこと。

(昔、湘南の浜で米軍が上陸訓練をしていたらしい)

高いフェンスの向こうは日本ではなくアメリカ。

たくさんの若者が憧れの気持ちを持ってそのフェンスを見上げたのだろう。

柳もその1人だったに違いない。

 

今はもう聞こえない

お袋の下手なBLUESと

俺には高すぎた鉄のFENCE

 

お袋の下手なブルースはもう聞こえない。

しかしレコード、CDを通して聞こえてくるのは紛れもない柳ジョージのブルースだ。

 

文章:菅原翔一